親の介護と子育てを同時に担う「ダブルケア」に直面する人が増えています。子どもの送迎や学校行事に加え、親の通院や介護サービスの調整など、時間的・精神的・経済的な負担が重なり、仕事との両立が難しくなるケースも少なくありません。
こうした状況が続くと、仕事のパフォーマンス低下や介護離職、育児離職につながる可能性もあります。そのため企業には、育児と介護を別々に考えるのではなく、「ダブルケア」という視点で従業員を支援することが求められています。
本記事では、ダブルケアが企業にもたらす影響や、企業が取り組むべき支援策について分かりやすく解説します。
目次
第1章 ダブルケアとは何か
親の介護と子育てを同時に担う人が増えている
ダブルケアとは、子育てと親など家族の介護を同時に担う状況を指します。
晩婚化や高齢出産の増加、高齢化の進展により、40〜50代で子育てをしながら親の介護にも直面する人が増えています。
例えば、
- 子どもの保育園への送迎
- 学校行事への参加
- 親の通院付き添い
- ケアマネジャーとの打ち合わせ
- 介護サービスの調整
など、多くの役割を同時に担う必要があります。
仕事と家庭の両立だけでも負担が大きい中、介護が加わることで心身への負担はさらに大きくなります。
ダブルケアは時間・精神・経済面の負担が重なる
ダブルケアが難しい理由は、負担が一つではないことです。
例えば、
時間的負担
- 子どもの予定と親の通院が重なる
- 平日に介護手続きが必要になる
精神的負担
- 子どもへの罪悪感
- 親への責任感
- 将来への不安
経済的負担
- 教育費
- 介護費用
- 医療費
- 交通費
この3つの負担が同時に発生することで、仕事への影響も大きくなります。
第2章 ダブルケアが企業へ与える影響
仕事のパフォーマンス低下だけではない
ダブルケアは、従業員本人だけの問題ではありません。
例えば、
- 遅刻・早退
- 急な欠勤
- 残業ができない
- 集中力の低下
など、業務にも影響が現れることがあります。
また、介護や育児の悩みを職場へ相談できず、一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。
その結果、プレゼンティーズム(出勤しているものの十分なパフォーマンスを発揮できない状態)や、最終的には離職につながる可能性もあります。
ダブルケアは企業の人材戦略にも影響する
経験豊富な40〜50代の従業員は、多くの企業で中核を担う存在です。
この世代がダブルケアを理由に離職すると、
- 業務ノウハウの喪失
- 採用・教育コストの増加
- 周囲の従業員への負担増加
など、企業への影響は決して小さくありません。
介護離職防止だけではなく、「ダブルケア離職」を防ぐ視点も、これからの人材戦略には欠かせません。
第3章 企業が最初に取り組むべき支援
育児と介護を一体で考える職場づくり
企業では育児支援制度と介護支援制度を別々に運用していることが少なくありません。
しかし、ダブルケアでは両方を同時に必要とするため、一体的な支援が重要になります。
例えば、
- フレックスタイム制度
- テレワーク
- 時間単位の休暇制度
- 柔軟な勤務時間
などを組み合わせることで、従業員は仕事と家庭を両立しやすくなります。
相談できる環境づくりが離職防止につながる
ダブルケアでは、
「育児の相談はできるが介護は相談しづらい」
という職場も少なくありません。
そのため、企業には育児・介護の両方について相談できる体制づくりが求められます。
相談窓口を設置するだけではなく、
- 管理職への研修
- ダブルケア事例の共有
- 制度利用の周知
- 外部専門家との連携
などを行うことで、従業員は早い段階で相談しやすくなります。
早期相談は、介護離職だけでなく、ダブルケアによる心身の負担軽減にもつながります。
第4章 企業が取り組みたいダブルケア支援
育児・介護休業法への対応をダブルケア支援につなげる
2025年4月施行の育児・介護休業法では、介護離職防止のための雇用環境整備として、企業に次の4つの取り組みが求められています。
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
- 介護休業・介護両立支援制度等の利用事例の収集・提供
- 介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
これらは介護離職防止を目的とした取り組みですが、ダブルケア支援にも大きく役立ちます。
例えば、相談窓口では介護だけでなく育児の悩みも含めて相談できる体制を整えることで、従業員は安心して仕事との両立について相談できるようになります。
また、ダブルケア経験者の事例を社内で共有することは、「自分だけではない」という安心感を生み、早期相談や制度利用を促進する効果も期待できます。
家計負担への支援もダブルケアには欠かせない
ダブルケアでは時間的な負担だけでなく、経済的な負担も大きな課題です。
例えば、
- 子どもの教育費
- 親の介護費用
- 医療費
- 通院の交通費
- 介護用品の購入費
などが同時に発生します。
そのため、企業が仕事と介護の両立支援を考える際には、勤務制度だけでなく、家計負担の軽減につながる情報提供も重要になります。
例えば、
- 介護保険制度
- 医療費控除
- 高額介護サービス費制度
- 介護費用軽減制度
- 扶養控除や障害者控除などの税制
について情報提供することで、従業員の経済的な不安を軽減できる可能性があります。
企業が制度を判断する必要はありませんが、「相談先を紹介する」「制度を知る機会を提供する」ことも、これからのダブルケア支援の重要な役割です。
第5章 ダブルケア支援は企業価値を高める取り組み
ダブルケア支援は健康経営・人的資本経営にもつながる
近年、多くの企業が健康経営や人的資本経営に取り組んでいます。
その中で、ダブルケア支援は重要なテーマの一つになっています。
従業員が安心して仕事と家庭を両立できる環境を整えることで、
- エンゲージメント向上
- 生産性向上
- 人材定着
- 採用力強化
など、多くの効果が期待できます。
また、介護や育児に理解のある企業として社外へ発信することは、企業ブランド向上にもつながります。
ダブルケアは企業全体で支える時代へ
ダブルケアは一部の従業員だけの問題ではありません。
高齢化や晩婚化が進む中で、今後さらに増加すると考えられています。
そのため企業には、
「介護が始まったら対応する」
のではなく、
「介護が始まる前から支援体制を整える」
という視点が求められます。
介護リテラシー向上研修や相談窓口の整備、制度利用事例の共有などを通じて、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを進めることが、企業の持続的な成長にもつながるでしょう。
FAQ
Q1. ダブルケアとは何ですか?
ダブルケアとは、子育てと親など家族の介護を同時に担う状態をいいます。仕事との両立が難しくなり、時間的・精神的・経済的な負担が重なりやすいことが特徴です。
Q2. ダブルケアは企業にどのような影響がありますか?
従業員の遅刻・早退・欠勤の増加、プレゼンティーズム、生産性低下、介護離職や育児離職につながる可能性があります。企業にとっては人材定着や生産性の観点から重要な課題です。
Q3. 企業はダブルケア支援として何から始めればよいですか?
まずは、育児・介護休業法に基づく介護離職防止のための雇用環境整備に取り組むことが重要です。研修や相談窓口の整備、制度利用事例の共有、利用促進方針の周知などを進めることで、相談しやすい職場環境づくりにつながります。
Q4. ダブルケアでは家計への支援も必要ですか?
はい。介護費用と教育費が重なるため、家計への負担が大きくなります。公的制度や税制について情報提供し、必要に応じて専門家へ相談できる環境を整えることも有効な支援です。
Q5. ダブルケア支援は健康経営にも関係しますか?
関係します。従業員の心身や経済的な負担を軽減し、安心して働ける環境を整えることは、健康経営や人的資本経営の推進、人材定着にもつながります。
まとめ
親の介護と子育てを同時に担うダブルケアは、時間・精神・経済面の負担が重なり、仕事との両立を難しくする大きな要因です。
企業が介護離職や育児離職を防ぐためには、勤務制度の整備だけでは十分ではありません。
育児・介護休業法で求められる雇用環境整備を活用し、
- 介護リテラシー向上研修
- 相談窓口の設置
- 利用事例の共有
- 利用促進方針の周知
を進めることに加え、家計負担軽減につながる情報提供や外部専門家との連携も重要になります。
ダブルケア支援は、従業員一人ひとりが安心して働き続けられる環境づくりだけでなく、人材定着や生産性向上、健康経営・人的資本経営の推進にもつながる重要な取り組みです。
ダブルケア支援を「制度整備」で終わらせないために
ハンドレッドライフでは、企業のビジネスケアラー支援として、
- 介護リテラシー向上研修
- 育児・介護休業法への対応支援
- 介護相談窓口の構築・運営支援
- 仕事と介護・育児の両立支援に関するコンサルティング
- 介護費用や公的支援制度など家計負担軽減につながる情報提供
を通じて、企業の実情に合わせたダブルケア支援をご提案しています。
ダブルケアへの対応は、従業員だけでなく企業の持続的な成長にもつながる重要な経営課題です。
「仕事と育児・介護を両立できる職場づくり」を進めたい企業様は、ぜひお気軽にハンドレッドライフへご相談ください。
