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介護リテラシーとは?管理職・従業員が知っておきたい仕事と介護の基礎知識

介護リテラシーとは?管理職・従業員が知っておきたい仕事と介護の基礎知識

働きながら家族の介護を担う従業員が増える中、企業にとって「介護リテラシー」の向上が重要になっています。

介護は突然始まることも多く、従業員自身が介護保険制度や相談先、会社の両立支援制度について十分に知らないまま、仕事との両立に悩んでしまうケースも少なくありません。

一方、相談を受ける管理職に介護への理解が不足していると、適切な支援につなげられず、従業員が一人で問題を抱え込んでしまう可能性があります。

介護リテラシーは、介護をしている人だけに必要な知識ではありません。従業員には「介護が始まったときに適切に行動する力」、管理職には「相談を受け止め、必要な支援につなげる力」が求められます。

この記事では、企業に必要な介護リテラシーについて、管理職・従業員それぞれの視点から分かりやすく解説します。

介護リテラシーとは?

介護リテラシーとは、介護に関する基本的な知識を理解し、必要になったときに適切な制度や支援につなげるための力です。

単に介護保険制度の名称を知っているだけではありません。

例えば、

  • 介護が始まったらどこへ相談するのか
  • 要介護認定とは何か
  • どのような介護サービスがあるのか
  • 家族だけで介護を抱え込まないためにはどうすればよいか
  • 仕事を続けながら介護するためにどの制度を利用できるのか
  • 会社へいつ相談すればよいのか

といったことを理解し、必要なときに行動できることが重要です。

厚生労働省も、仕事と介護の両立支援について、介護に直面する前から情報を提供することや、従業員研修を活用することを企業向けに案内しています。

介護リテラシーが企業に必要な理由

介護は「始まってから学ぶ」では間に合わないことがある

介護は、親の転倒、病気、入院、認知症などをきっかけに突然始まることがあります。

そのとき従業員は、仕事を続けながら、

  • 病院とのやり取り
  • 要介護認定の申請
  • 地域包括支援センターへの相談
  • ケアマネジャーとの打ち合わせ
  • 介護サービスの手配
  • 家族との役割分担

などを進めなければならない場合があります。

介護について何も知らない状態から短期間で判断しようとすると、精神的・時間的な負担が大きくなります。

だからこそ、「介護が始まった人だけ」に説明するのではなく、まだ介護に直面していない従業員にも基礎知識を伝えておくことが重要です。

2025年4月からは、企業に対して、介護離職防止のための雇用環境整備に加え、40歳前後の労働者への早期の情報提供や、介護に直面した従業員への個別周知・意向確認が求められています。

「制度がある」だけでは利用につながらない

会社に介護休業や介護休暇の制度があっても、従業員が制度を知らなければ利用できません。

また、

「上司に相談しにくい」

「制度を利用すると評価に影響するのではないか」

「自分の状況が介護に当たるのか分からない」

と感じ、相談をためらうケースもあります。

制度を整えることと同時に、制度を理解し、相談し、利用できる職場環境をつくることが必要です。

従業員に必要な介護リテラシー

介護が始まったときの「最初の行動」を知っておく

従業員にとって重要なのは、介護の専門家になることではありません。

「困ったときに誰へ相談すればよいか」を知っていることです。

例えば親の生活に変化を感じた場合には、

  • 地域包括支援センター
  • 市区町村の介護保険窓口
  • 病院の相談窓口
  • ケアマネジャー

などへ相談する方法があります。

会社についても、介護が深刻になってからではなく、仕事への影響が出そうな段階で上司や人事、相談窓口へ伝えることが重要です。

「自分で介護する」ではなく「介護体制をつくる」と考える

介護が始まると、

「親だから自分が介護しなければ」

と考えてしまう人もいます。

しかし、介護は長期間続く可能性があります。

仕事と介護を両立するためには、家族だけで介護を担うのではなく、

  • 訪問介護
  • デイサービス
  • ショートステイ
  • 福祉用具
  • 地域の支援
  • 民間サービス

などを組み合わせ、介護体制をつくることが大切です。

介護休業も「自分が介護をすべて行うための休業」と考えるのではなく、介護サービスの手配や家族間の役割分担など、今後の両立体制を整えるために活用するという考え方が重要です。

管理職に必要な介護リテラシー

管理職の役割は「介護の問題を解決すること」ではない

部下から親の介護について相談されたとき、管理職自身が介護制度や介護保険の専門家になる必要はありません。

重要なのは、

相談を受け止め、必要な部署や支援につなげること

です。

例えば、

「大変ですね。今後仕事への影響がありそうなことはありますか?」

「利用できる社内制度がありますので、人事や相談窓口にもつなぎましょう」

といった対応ができれば、従業員は相談しやすくなります。

反対に、

「家族で何とかできないの?」

「介護休業を取ればいいのでは?」

「いつまで続くの?」

といった言葉は、従業員が相談することをためらう原因になる可能性があります。

部下の状況を決めつけないことが重要

介護の状況は家庭によって異なります。

同じ要介護度でも、

  • 同居か別居か
  • 兄弟姉妹がいるか
  • 親の経済状況
  • 認知症の有無
  • 遠距離介護か
  • 配偶者や子育てとの両立があるか

などによって負担は大きく変わります。

管理職は、「介護ならこの制度」と決めつけるのではなく、本人の状況を確認しながら適切な相談先へつなげることが大切です。

企業が介護リテラシーを高めるためにできること

企業全体の介護リテラシーを高めるには、管理職と一般従業員の双方への働きかけが必要です。

大きく4つの取り組みに整理できます。

取り組み主な内容
研修介護の基礎知識、両立支援制度、相談先などを学ぶ
相談体制社内・外部の相談窓口を設ける
利用事例の共有介護休業や両立支援制度を利用した事例を紹介する
方針の周知会社として仕事と介護の両立を支援する姿勢を伝える

2025年4月施行の改正育児・介護休業法では、介護休業・介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境を整備するため、企業は「研修」「相談体制の整備」「利用事例の収集・提供」「利用促進方針の周知」の4つから、少なくとも1つを実施する必要があります。複数の措置を講じることが望ましいとされています。

従業員研修で「介護が始まる前」に備える

介護リテラシー研修では、法律上の制度だけを説明するのではなく、

  • 介護が始まったら何をするのか
  • 地域包括支援センターとは何か
  • 要介護認定とは何か
  • 仕事を辞める前に何を確認するのか
  • 会社にはどのタイミングで相談するのか

といった実践的な内容を伝えることが重要です。

「制度を知る研修」ではなく、介護が始まったときに行動できる研修にすることで、介護離職防止につながりやすくなります。

管理職研修では「相談を受けたときの対応」を学ぶ

管理職研修では、介護保険の細かな知識よりも、

  • どのような声かけをするか
  • 何を聞いてよいのか
  • 何を決めつけてはいけないのか
  • 人事や相談窓口へどうつなぐか
  • 制度利用者がいる職場をどうマネジメントするか

といった内容が重要です。

厚生労働省も、介護相談を受けた場合の会社の対応ポイントや対話例など、企業向けの実務資料を公開しています。

介護リテラシー向上は「相談しやすい職場づくり」につながる

介護リテラシー向上の目的は、従業員に多くの制度を暗記してもらうことではありません。

重要なのは、

困ったときに相談できる

必要な制度を利用できる

家族だけで介護を抱え込まない

という状態をつくることです。

従業員側の介護リテラシーと、管理職側の介護リテラシーの両方が高まることで、相談が早期化し、企業も対応しやすくなります。

その結果、介護による心身の疲弊や生産性低下、介護離職を防ぐことにつながります。

FAQ

Q1. 介護リテラシーとは何ですか?

介護保険制度や相談先、仕事と介護の両立制度などの基本を理解し、必要になったときに適切な支援につなげる力です。介護の専門家になることではなく、「どこへ相談し、何を確認すればよいか」を知っておくことが重要です。

Q2. 介護リテラシー研修は誰を対象にすればよいですか?

介護中の従業員だけでなく、将来介護に直面する可能性のある一般従業員にも有効です。また、相談を受ける立場となる管理職には、別途、相談対応や職場マネジメントを含む研修を行うと効果的です。

Q3. 管理職は介護制度をどこまで知る必要がありますか?

細かな介護制度をすべて理解する必要はありません。会社の両立支援制度、相談先、部下から相談された際の基本対応を理解し、人事や専門的な相談窓口へ適切につなげられることが重要です。

Q4. 研修を実施すれば育児・介護休業法への対応になりますか?

介護離職防止のための雇用環境整備では、研修の実施は法定措置の一つです。ただし、研修内容や実施方法が法律上求められる内容を満たす必要がありますので、最新の厚生労働省資料を確認することが重要です。

Q5. 相談窓口と研修はどちらを優先すべきですか?

どちらか一方ではなく、組み合わせることが効果的です。研修で介護への理解を高めても、相談先が分からなければ行動につながりません。反対に、相談窓口があっても従業員がその存在や相談すべきタイミングを知らなければ利用されません。

まとめ

介護リテラシーは、介護をしている従業員だけに必要なものではありません。

従業員には、介護が始まったときに適切な相談先や制度へつながるための知識が必要です。

一方、管理職には、部下から相談を受けたときに状況を受け止め、適切な支援につなげるための知識と対応力が求められます。

企業が研修や相談体制を整え、管理職・従業員双方の介護リテラシーを高めることで、

「介護が始まっても一人で抱え込まない」

「仕事を辞める前に相談できる」

職場づくりにつながります。

介護離職防止の第一歩は、制度を増やすことだけではなく、制度や支援を「知り、相談し、使える職場」をつくることです。

管理職・従業員の介護リテラシーを高めませんか?

「介護制度はあるものの、従業員に十分知られていない」

「管理職が介護相談を受けたときの対応に不安がある」

「介護離職防止の研修を実施したいが、何を伝えればよいか分からない」

このような課題を抱えている企業も少なくありません。

株式会社ハンドレッドライフでは、

  • 従業員向け介護リテラシー向上研修
  • 管理職向け介護リテラシー研修
  • 仕事と介護の相談窓口支援
  • ビジネスケアラー支援
  • 介護家族の家計負担軽減に関する情報提供

などを通じて、従業員が介護に直面しても安心して働き続けられる環境づくりを支援しています。

介護リテラシー向上を「制度説明」で終わらせず、実際の相談や仕事と介護の両立につながる取り組みとして進めたい企業様は、お気軽にご相談ください。