介護保険サービスは、自宅で利用できる在宅サービス（居宅介護サービス）、地域密着型のサービス、施設に入所して利用する施設サービスに分類されます。要介護者や家族の状況に合わせて、適切なサービスを選ぶことが大切です。本記事では、仕事と介護を両立するビジネスケアラー向けに、介護保険サービスの種類と特徴を詳しく解説し、サポートを受ける際のポイントをご紹介します。
1. 居宅介護サービス
居宅介護サービスは、要介護者が自宅で生活を続けながら必要な介護支援を受けられるサービスです。訪問系サービス、通所系サービス、短期入所サービス、福祉用具関連サービス、民間施設サービスなどがあります。
【訪問系サービス】
1-1 訪問介護（ホームヘルプサービス）
ヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、掃除、排泄の介助など日常生活を支援します。
1-2 訪問看護
看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置（点滴、服薬管理、褥瘡ケアなど）を行うサービスです。退院後の体調管理や慢性疾患のケアが必要な場合に適しています。
1-3 訪問入浴介護
浴槽を持ち込んで自宅で入浴介助を行います。自力での入浴が困難な場合でも、衛生的かつ快適な入浴が可能です。
1-4 訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、筋力トレーニングや歩行訓練を通じて身体機能の回復を目指します。
【通所系サービス（デイサービス）】
1-5 通所介護（デイサービス）
日中に施設へ通い、リハビリ、入浴、食事などのサービスを受けます。要介護者にとっては交流の場となり、介護者にとっては日中の負担軽減に役立ちます。
1-6 通所リハビリテーション（デイケア）
医療機関やリハビリ施設で行うリハビリ中心のサービスです。病気やケガからの回復を目指し、理学療法士や作業療法士の指導を受けながら身体機能を改善します。
【短期入所系サービス（ショートステイ）】
1-7 短期入所生活介護
短期間施設に宿泊して介護を受けるサービスです。家族が一時的に介護を離れたいときや、緊急時に利用されます。
1-8 短期入所療養介護
リハビリや医療ケアを受けながら短期間の入所を行うサービスです。医療ニーズがある要介護者が対象です。
【福祉用具関連サービス】
1-9 福祉用具貸与
介護ベッドや車椅子などの福祉用具をレンタルできるサービスです。利用者の身体状況に応じて適切な用具が提供されます。
1-10 特定福祉用具販売
ポータブルトイレや入浴補助器具など、頻繁に使用する福祉用具を購入することができます。
【民間施設系サービス】
1-11 特定施設入居者生活介護
介護付き有料老人ホームなど、民間運営の施設で提供されるサービスです。快適な環境が整っていますが、費用は比較的高額です。
2. 施設サービス
施設サービスは、要介護者が施設に入所して生活支援と介護を受けるサービスです。入所型の施設は種類によって目的や機能が異なります。
2-1 介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム・特養）
常に介護が必要な高齢者向けの施設です。費用は比較的抑えられますが、入所待機者が多い傾向にあります。24時間体制で生活支援と介護を提供します。
2-2 介護老人保健施設（老健）
自宅復帰を目的としたリハビリ中心の施設です。病院を退院した後に短期入所し、身体機能の回復を図ります。
2-3 介護医療院
医療と介護を一体化して提供する施設です。長期的な医療ケアが必要な方に適しています。
2-4 介護療養型医療施設
病院の一部として設置されている施設で、長期療養が必要な要介護者を対象にしています。
3. 地域密着型サービス
地域密着型サービスは、住み慣れた地域内で要介護者が安心して介護支援を受けられるように提供されるサービスです。
3-1 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
24時間体制で必要な時に介護スタッフが訪問し対応するサービスです。
3- 2 夜間対応型訪問介護
夜間や早朝に訪問して排泄介助や見守りを行うサービスです。
3-3 地域密着型通所介護
小規模な通所施設で日中のリハビリや入浴、食事のサービスを提供します。利用者の住んでいる地域内に限られるため、短時間の利用がしやすいのが特徴です。
3-4 認知症対応型通所介護
認知症の方専用のデイサービスで、認知症に特化したリハビリやケアを受けられます。専門スタッフのサポートにより、安心して通える環境が整っています。
3-5 小規模多機能型居宅介護
「通い」「訪問」「宿泊」を組み合わせた柔軟なサービスです。自宅での生活を続けながら必要な支援を受けられます。
3-6 看護小規模多機能型居宅介護（複合型サービス）
看護サービスを含めた複合的な支援を提供するサービスです。医療ケアが必要な要介護者にも対応します。
3-7 定期巡回・地域密着型特定施設入所者生活介護
地域内の施設に入所し、24時間体制の支援を受けられるサービスです。
3-8 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
小規模な特別養護老人ホームで、地域の要介護者を対象にした入所サービスです。定員は29人以下で、家庭的な環境の中で24時間体制の支援が受けられる点が特徴です。
3-9 グループホーム（認知症対応型共同生活介護）
認知症の方が少人数で共同生活を送り、介護を受ける施設です。家庭的な環境で安心感を持って生活できます。
まとめ
介護保険サービスは多岐にわたり、要介護度や生活状況に応じて選択する必要があります。ビジネスケアラーにとっては、仕事との両立を考慮し、柔軟な在宅サービスや一時利用が可能なショートステイを活用することが効果的です。また、企業も従業員の介護負担軽減のために制度の活用や情報提供を推進し、仕事と介護を両立できる環境整備を進めることが求められます。