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介護相談窓口はどう作る?中小企業でもできる設置ステップ

介護相談窓口はどう作る?中小企業でもできる設置ステップ

従業員が親の介護に直面したとき、多くの企業で起きるのが「誰にも相談されないまま、限界を迎える」という問題です。介護は突然始まり、本人も混乱したまま仕事を続けるため、会社側が気づいたときには遅刻・早退・欠勤が増え、生産性低下やメンタル不調、最悪の場合は介護離職につながることもあります。しかし実際には、従業員が介護相談を会社にしない原因は「制度がない」ことではなく、「相談しても大丈夫だと思えない職場環境」にあります。だからこそ重要なのが、介護相談窓口を設置し、安心して相談できる導線を整えることです。今回は、中小企業でも無理なく実行できる介護相談窓口の設置ステップを整理します。

1. 介護相談窓口を設置する前に「目的」を明確にする

1-1. 介護相談窓口は福利厚生ではなく経営対策である

介護相談窓口を作る際に最初に必要なのは、「なぜ設置するのか」という目的の明確化です。介護は個人の家庭問題と捉えられがちですが、現場では遅刻・早退・欠勤、集中力低下、ミスの増加など、仕事に直接影響します。つまり介護相談窓口は、従業員支援であると同時に、人材流出を防ぐ経営対策でもあります。

1-2. 「介護離職を防ぐ」ことを社内で共通認識にする

従業員が介護で追い詰められたとき、最も多いのが「辞めるしかない」という判断です。しかし介護離職は企業にとって採用コストや教育コストの損失につながります。介護相談窓口の目的は、従業員を助けるだけでなく、離職や休職を防ぎ、職場の安定を守ることだと社内で共有することが重要です。

2. 「誰が介護相談窓口を担うか」を決める

2-1. 社内対応だけで抱え込むと限界が来やすい

中小企業では人事や総務が少人数のため、介護相談窓口を社内だけで運用しようとすると負担が大きくなります。さらに介護は制度・介護保険・家族関係・医療との連携など専門性が高く、担当者が対応に困るケースが多いのが実態です。その結果、相談を受けても十分な支援につながらず、窓口が形骸化してしまうことがあります。

2-2. 外部連携を前提にすると現実的に運用できる

介護相談窓口を設置する際は、社内で一次受付を行い、専門的な支援は外部と連携する仕組みが現実的です。たとえば社労士、産業医、介護専門の外部相談サービスなどと連携すれば、企業側の負担を抑えながら、従業員にとって安心できる窓口を作ることができます。中小企業ほど「社内で完結させない設計」が成功の鍵になります。

3. 介護相談窓口の「相談ルール」と「守秘」を整備する

3-1. 相談しない最大の理由は「不利益への恐れ」

従業員が介護相談を会社にしない原因の多くは、制度の不足ではなく心理的な不安です。

「相談したら評価が下がるのでは」

「仕事を外されるのでは」

「周囲に知られて気まずくなるのでは」

こうした恐れがある限り、介護相談窓口があっても相談は増えません。

3-2. 相談ルールを明文化して安心感を作る

介護相談窓口を機能させるには、次のルールを明文化し社内に周知する必要があります。

  • 相談内容は守秘される
  • 本人の同意なく上司や部署に共有しない
  • 相談したことが評価や処遇に影響しない
  • 相談の記録や取り扱い方法を明確にする

こうしたルールがあることで、従業員は初めて「相談しても大丈夫」と思えるようになります。

4. 相談導線を整備し「相談できる職場文化」を作る

4-1. 窓口があっても知られていなければ存在しないのと同じ

多くの企業で起きる失敗が、「介護相談窓口を作ったが誰も使わない」という状態です。その原因は単純で、従業員が窓口の存在を知らない、もしくは利用イメージが湧かないことです。窓口は作った瞬間に機能するものではなく、日常の中で見える形で周知されて初めて機能します。

4-2. 周知は一度きりではなく継続することが重要

介護は突然始まるため、従業員は「今必要ではない」と思っている段階では情報を見落とします。

そのため介護相談窓口の周知は、繰り返し行う必要があります。

  • 社内ポータルへの掲載
  • 定期的な社内メール
  • 研修や面談時の案内
  • 入社時のガイドブックに記載
  • 給与明細に案内を同封

こうした導線を作ることで、いざというときに従業員が「ここに相談できる」と思い出せる状態を作れます。

5. 研修をセットで実施し、相談窓口を「使える仕組み」にする

5-1. 管理職研修がないと介護相談窓口は機能しない

介護相談窓口を整備しても、現場の管理職が介護への理解を持っていないと相談は増えません。なぜなら従業員は、窓口より先に「上司が理解してくれるか」を見ているからです。管理職が介護に関する最低限の知識を持ち、相談を受けたときのNG対応や適切な声かけを理解していることが、窓口機能の前提になります。

5-2. 一般従業員向け研修で「介護になっても困らない準備」を促す

介護は突然始まり、準備不足のまま対応すると、仕事との両立が一気に崩れます。そのため一般従業員向け研修では、介護の基礎知識を伝え、いざ介護になったときに困らない状態を作ることが重要です。介護保険制度、相談先、家族会議の進め方、職場に相談するタイミングなどを知っておけば、従業員は早期に行動でき、結果的に企業側も突然の離職リスクを下げられます。介護相談窓口と研修をセットで整備することが、最も効果的な介護対策になります。

まとめ

介護相談窓口は、大企業だけの仕組みではありません。中小企業でも「目的の明確化」「担当の決定」「守秘ルールの整備」「相談導線の構築」「研修の実施」を段階的に進めれば、無理なく設置できます。特に重要なのは、窓口を作ること自体ではなく、従業員が相談しても不利益がないと安心できる環境を作ることです。さらに管理職研修と一般従業員向け研修を組み合わせれば、介護が始まる前から備えができ、突然の介護離職を防ぐ仕組みになります。介護問題を個人任せにせず、企業として相談できる体制を整えることが、これからの人材定着と経営安定に直結する重要な一歩となります。

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