介護問題は、ある日突然表面化するように見えます。しかし実際には、介護が始まった時点で本人が抱え込んでいるケースが多く、企業側が気づけないまま限界に至ってしまうことも少なくありません。特に深刻なのは、介護離職の前段階で「相談が起きない」状態が続くことです。では、なぜ従業員は会社に介護相談をしないのでしょうか。そこには制度の有無とは別に、職場の空気や評価への不安、迷惑をかけたくないという心理的な壁が存在します。本記事では、従業員が介護相談をしない原因を整理し、企業が見落としやすいポイントを明確にします。相談が起きない状態を放置することが、人材流出や生産性低下につながる前に、経営として持つべき視点を解説します。
目次
1.従業員が介護相談をしない原因は「介護は個人の問題」という思い込みにある
1-1.従業員が介護相談をしない原因は「会社に言う話ではない」と感じているから
介護は家庭内の出来事であり、仕事とは別の問題だと考える従業員は少なくありません。特に責任感の強い人ほど、「これは自分の家庭の問題であり、会社に持ち込むべきではない」と感じやすい傾向があります。その結果、介護負担が増えても相談が後回しになり、限界が来た時点で初めて休職や退職を決断してしまうのです。

1-2.従業員が介護相談をしない原因は「相談=弱さ」と捉えてしまう心理にある
職場によっては、相談することが「弱音を吐くこと」「甘え」と捉えられる文化が残っています。その空気を敏感に感じ取った従業員は、介護の負担を抱えていても「相談してはいけない」と自分を追い込みます。介護は誰にでも起こり得る問題であるにもかかわらず、本人の中で「相談するほどのことではない」と過小評価されてしまうことも、相談が起きない要因になります。
2.従業員が介護相談をしない原因は「評価が下がる不安」が強いことにある
2-1.従業員が介護相談をしない原因は「仕事を外される恐れ」があるため
従業員が介護相談をしない原因として多いのが、相談した瞬間に仕事を外される不安です。「重要な案件から外されるのではないか」「昇進が止まるのではないか」こうした恐れがある限り、従業員は介護の話を職場で口にすることを避けます。特に管理職や中核人材ほど、役割を失うことへの恐怖が強くなり、結果的に相談が遅れます。
2-2.従業員が介護相談をしない原因は「キャリアが終わる」と思い込むから
介護相談をしたことが「この人は今後活躍できない」と評価されるのではないか、という思い込みも根強いです。実際に企業側がそのつもりでなくても、過去の経験や職場の雰囲気によって、従業員はそう感じてしまいます。この心理が強い職場ほど、介護の問題は隠され、突然の離職につながるリスクが高まります。
3.従業員が介護相談をしない原因は「相談しても解決しない」という諦めにある
3-1.従業員が介護相談をしない原因は「相談先が分からない」状態があるから
従業員が介護を抱えたとき、相談できる窓口が明確でない企業は少なくありません。人事に言うべきか、上司に言うべきか、誰に話せばいいか分からない。この時点で従業員は相談を諦めてしまいます。さらに「上司に相談すると周囲に知られるかもしれない」という不安もあり、結果として相談が起きない状態が続きます。
3-2.従業員が介護相談をしない原因は「制度があっても使える実感がない」ため
企業が介護休業制度や時短制度を整備していても、従業員がその存在を知らなければ意味がありません。また制度を知っていたとしても、「実際に使うと現場が回らない」と感じれば申請を躊躇します。制度があっても相談が起きない企業では、「制度が存在すること」ではなく「制度を使える空気」が不足しているケースが多いのです。
4.従業員が介護相談をしない原因は「迷惑をかけたくない責任感」にある
4-1.従業員が介護相談をしない原因は「自分が我慢すれば済む」と考えるため
介護が始まったとき、多くの従業員は「まだ何とかなる」と考えます。その背景には責任感や周囲への配慮があります。しかし介護は長期化しやすく、負担は徐々に増えていきます。「自分が我慢すればいい」という状態が続けば、心身の疲労が限界を超え、突然の休職・退職へとつながります。
4-2.従業員が介護相談をしない原因は「人手不足の職場ほど心理的壁が強まる」から
人手不足の職場ほど、従業員は「自分が抜けたら迷惑をかける」と感じやすくなります。その結果、相談せずに無理を続け、周囲も気づかないまま状況が悪化します。本来、介護問題は個人の努力で解決できるものではありません。しかし職場が忙しければ忙しいほど「相談できない空気」が強化されてしまうのが現実です。
5.従業員が介護相談をしない原因を放置すると企業が失うものは大きい
5-1.従業員が介護相談をしない原因を放置すると「突然の離職」が起こりやすくなる
介護相談がない企業では、介護問題が存在していないのではなく、表面化していないだけです。そして表面化する時は多くの場合、休職や退職という形になります。介護離職は本人にとっても大きな損失ですが、企業側にとっても中核人材を失う重大なリスクです。相談が起きない状態を放置することは、見えない人材流出を放置しているのと同じです。
5-2.従業員が介護相談をしない原因がある企業は「採用・定着」でも不利になる
今後は求職者が企業を選ぶ際に、「介護と仕事を両立できる環境があるか」を重視する時代になります。介護問題を抱えるのは一部の従業員ではなく、働き盛り世代にも確実に広がるからです。相談が起きない職場は、表面上は安定して見えても、内部では不安を抱えた従業員が増えている可能性があります。結果として採用力・定着率の低下につながり、企業の競争力そのものを弱めてしまいます。
まとめ
従業員が介護相談をしない原因には、制度不足よりも「心理的な壁」が存在します。評価への不安、迷惑をかけたくない責任感、相談しても解決しないという諦めが重なり、従業員は限界まで抱え込みます。その結果、企業は気づかないまま突然の休職・離職に直面します。つまり、従業員が介護相談をしない原因を理解することは、介護離職を防ぐための第一歩です。介護相談が起きない企業ほど、今のうちに「相談できる空気」「窓口の明確化」「管理職の初期対応力」を整える必要があります。介護問題は個人の事情ではなく、企業の持続性を左右する重要な経営課題になりつつあります。
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