東京都では、仕事と介護の両立を支援するために「介護休業取得応援奨励金」を設けています。従業員が安心して介護休業を取得し、原職復帰できる職場づくりを進める企業に対して、最大105万円が支給される制度です。この記事では、2025年度(令和7年度)の最新要項に基づき、対象企業・支給額・申請方法・加算制度・注意点をわかりやすく解説します。中小企業が申請に失敗しないための実践ポイントも紹介します。
目次
1.東京都 介護休業取得応援奨励金とは
1-1 制度の目的と背景
東京都の「介護休業取得応援奨励金」は、介護を理由とした離職を防止し、誰もが安心して働き続けられる職場環境を整備することを目的に設けられた制度です。従業員が一定期間の介護休業を取得し、原職復帰後も就業を継続した企業に対して奨励金を交付するもので、介護を「企業全体で支え合う」文化を醸成する支援策です。
1-2 実施期間と申請期限
この奨励金の実施期間は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までです。申請は、従業員が原職復帰して3か月が経過した日の翌日から2か月以内に行う必要があります(郵送必着・期限厳守)。
2.支給金額と加算内容
2-1 基本支給額
奨励金は、従業員の介護休業取得日数に応じて支給されます。
- 合計15日以上の介護休業取得:27.5万円
- 合計31日以上の介護休業取得:55万円
2-2 最大105万円まで増額できる加算制度
企業が「同僚の応援・支援に関する取組」を行う場合、以下の加算が受けられます。
- ①「応援評価・表彰制度+介護休業応援プランシート」:+30万円
- ②「応援手当(合計20万円以上)+介護休業応援プランシート」:+30万円
- ①②両方実施の場合は、加算合計50万円 → 最大支給額は 55万円+50万円=105万円 となります。
これらの制度は、介護休業者だけでなく、支える同僚の貢献を評価する仕組みとして注目されています。
3.対象となる企業と従業員の条件
3-1 企業側の条件
- 東京都内に事業所を有する中小企業(常時雇用300人以下など)
- 就業規則に介護休業制度を明記している
- 実際に従業員が介護休業を取得し、原職に復帰して3か月間の勤務実績がある
- 同一年度内の申請は1回限り
3-2 従業員側の条件
- 介護休業開始前に6か月以上の継続就業および雇用保険加入があること
- 同一家族の介護であれば、1年以内の複数回取得分を合算可能
- 有給の介護休暇を含める場合は、就業規則への明記と労働基準監督署への届出が必要
これらの条件を満たしていない場合、奨励金の対象外となるため注意が必要です。
4.申請の流れと注意点
4-1 申請の手順
- 東京都しごと財団の募集要項を確認
- 必要書類(申請書・誓約書・就業規則・介護休業実績書など)を準備
- 従業員の原職復帰3か月経過後に申請書を提出
- 書類審査を経て支給決定(審査期間はおおむね2〜3か月)
※申請は郵送による提出(記録が残る方法)で、期限が休日の場合は前営業日必着となります。
4-2 書類不備による遅延を防ぐコツ
- 印鑑証明書と登記印の整合を必ず確認する
- 介護休業開始日・復帰日・勤務実績期間を正確に記載
- 賃金台帳や雇用保険記録など、証拠資料はコピー添付
- 書類の誤記・押印漏れは返戻の原因になるため、社労士等に事前確認を依頼すると安全です。
5.奨励金を活用するメリットと成功事例
5-1 中小企業にとっての導入メリット
奨励金は、単なる金銭的支援ではなく、働きやすい職場文化の醸成に直結します。介護休業者と同僚の双方を支援する制度を整えることで、離職防止・エンゲージメント向上・採用力強化といった副次的効果も得られます。
5-2 実際の活用例
都内のある製造業では、社員が介護休業を取得した際に「応援手当」と「表彰制度」を導入。職場全体でサポート体制を共有した結果、復職後の定着率が向上し、社内のチームワーク強化にもつながりました。このように、奨励金をきっかけに「介護と仕事の両立」を経営課題として前向きに捉える企業が増えています。
【まとめ】
東京都 介護休業取得応援奨励金は、中小企業支援と介護離職防止の両面で注目される制度です。「育児・介護休業法改正」を踏まえた職場づくりの一環として、この奨励金を活用すれば、労働環境整備と働きやすい企業文化の両立が可能になります。まずは、東京都しごと財団の公式ページで最新の募集要項を確認し、自社が対象かどうかをチェックしてみましょう。
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