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ビジネスケアラー実態把握調査の進め方と活用法とは?

ビジネスケアラー実態把握調査の進め方と活用法とは?

仕事と介護の両立に悩む従業員「ビジネスケアラー」は、今や企業にとって見逃せない人的課題です。従業員のパフォーマンスや離職率に影響を与えうるこのテーマに対し、対策の第一歩として注目されているのが「ビジネスケアラー 実態把握調査」です。調査を通じて、企業は現場のリアルな声をデータ化し、効果的な支援制度や施策に落とし込むことができます。本記事では、厚生労働省の調査票との違いを踏まえつつ、実務で活用できる調査手法と具体的な進め方を詳しく解説します。

1. 実態把握調査が求められる背景

1-1 介護を理由とした離職リスクの増加

日本では高齢化が急速に進み、介護を担う働き手が年々増えています。とくに40〜50代の中堅社員に多く、仕事との両立が難しくなった結果、離職に至るケースも少なくありません。このような“静かな離職リスク”を未然に防ぐためには、ビジネスケアラーが抱える問題を早期に把握する必要があります。

1-2 見えない課題の可視化がカギ

介護の悩みは職場で表に出にくい傾向があります。「忙しそうな上司に言いづらい」「制度の存在を知らない」といった心理的・制度的なハードルが存在し、企業側が気づけないまま従業員が疲弊してしまうことも。こうした“見えない困難”を可視化するために、実態把握調査が重要視されています。

2. 厚生労働省とハンドレッドライフ版の調査票の違い

2-1 厚生労働省の調査票は基礎データ向け

厚労省の調査票は、介護をめぐる基本的な情報(介護者の属性、相談経験、職場制度の認知など)を把握することに適しています。全国規模での傾向を把握するには有用ですが、個別企業の施策検討にはやや抽象的で、現場レベルの具体的な改善策につなげにくいという声もあります。

2-2 ハンドレッドライフの調査票は現場志向

一方、ハンドレッドライフの調査票はより実践的な内容に踏み込んでいます。たとえば:

  • パフォーマンス低下の理由の選択肢化
  • 勤務先への相談を避ける理由の選択肢化
  • 会社に対して今後期待する支援内容を選択肢化

これにより、単なる状況把握ではなく、「どう支援すればよいか」という具体策へと直結する情報が得られます。

3. ハンドレッドライフ版で得られる実務的示唆

3-1 ビジネスケアラーの介護による業務影響を可視化する調査手法

「介護の影響でパフォーマンス」について、パフォーマンス度及び具体的な理由まで問うことで、どのような支援が求められているかを把握できます。たとえば「出勤時間や終業時間などの調整が難しい」「介護によって精神的な負担を感じる」などの声が多ければ、時間的柔軟性を持つ勤務制度やメンタルケアの導入が検討できます。

3-2 ビジネスケアラーが相談できない理由

「相談しない理由」の選択肢を通じて、「上司に言いづらい」「相談をしても解決策などが見つからない」などの根本課題を明確にできます。「制度はあっても、使われない理由」がわかる調査は貴重です。

4. 調査の設計・実施のポイント

4-1 調査設計で押さえるべき4つの要素

  1. 匿名性を確保する:安心して本音を答えてもらうために必須
  2. 自由記述と選択肢のバランス:具体的な数値と個別事情の両方を拾える設計
  3. 対象は全従業員:介護中の人だけでなく、予備軍の声も拾うことで将来対策に役立つ
  4. 実施目的の明示:「制度改善や経営判断に使う」という意図を社内で共有し、回答率を高める

4-2 実施後の活用フロー

  • 報告書にまとめて経営層と共有
  • 人事制度や福利厚生設計への反映
  • 人的資本開示や健康経営レポートに組み込む
  • 助成金(介護離職防止支援コース)申請時のエビデンスとして活用

調査は“やって終わり”ではなく、どう活かすかが重要です。

5. 実態調査を経営戦略に生かす方法

5-1 制度設計と従業員エンゲージメント向上

調査を踏まえて、「時間単位の有給」「介護相談窓口」「介護セミナー」などの制度を導入・改善することで、従業員の安心感とエンゲージメントが向上します。また、部門ごとの傾向を分析すれば、現場に即した対策も可能です。

5-2 経営層を動かすデータの力

「人的資本経営」「健康経営」「ESG経営」が重視される時代、介護支援の取り組みは、企業の社会的評価にも直結します。実態把握調査を通じたエビデンス提示は、経営層の理解を促進し、戦略的な人事投資としての施策展開を可能にします。

まとめ

ビジネスケアラー 実態把握調査は、単なるアンケートにとどまらず、企業の持続可能性を支える人的資本戦略の出発点です。厚労省版が制度利用状況などの把握に長けている一方で、ハンドレッドライフ版は現場の課題や期待、相談の壁などに直接アプローチできる設問設計が特長です。これにより、介護と仕事の両立支援を“具体的な施策”として設計し、従業員の離職防止・パフォーマンス維持・エンゲージメント向上につなげることが可能です。今後、人的資本開示や助成金申請においても、信頼性ある調査の実施は企業価値を高める重要な要素となるでしょう。

ビジネスケアラー実態把握調査のご相談は↓↓↓

<参考>仕事と介護の両立実態把握&サポートサービス